朝陽
「なら、遊んであげようか?」
不意に声がする。
「・・・誰?」
「・・・金沢龍貴(かなざわりゅうき)。かねのさわに、りゅうのきぞくって書いて、金沢龍貴。あ、りゅうって漢字は、複雑なほうね。」
にこやかに笑って近寄ってくる少年。
見た目からして、同年代だろう。
黒髪で、爽やかなスポーツ系。
「・・・いきなり、何?」
「いや、遊んであげようと思ってさ。暇してるんだろ?だったら遊ぼうよ、名前なんていうの?」
「・・・藤堂平助。」
「・・・っは?」
男の目が大きく見開かれる。
「・・・何。」
「男?」
「・・・だから何?」
ああ。こいつも女だと思って近寄ってきたのか。そう考えると、腹が煮え繰り返る。
「・・・いや、なんで女装してんの?」
「・・・無理矢理やらされた。そんなに女に見える?」
「ばっちり。そこら辺の女よりも女。」
そういって男は僕の隣に座った。
「・・・でも男だから。」