朝陽
一通り並んで、体育館へと向かう。
「んじゃー座れ。」
生徒たちを整列させた後、いったん座らせる。
そして土方先生は、教師用に椅子へと歩いていく。
私は地べたなのに・・・。
「ねーねー。4組の人だよね?」
何もすることが無いので、体育座りのまま、呆けて明後日の方向を見続ける。
「・・・ちょ、聞いてる?」
「・・・え?あ、うん」
声をかけられた。隣の人だ。3年5組かな。
「絶対聞いてなかったでしょ~?ま、いいけど。私、花梨ね!秋原花梨!!花梨って呼んで!!」
「智咲だよ。橘、智咲。自由に呼んで!!」
自己紹介だ。新学期早々友達が増えた!よろこんでもいいよね?
「ちょ、橘さんですかっ?!一回は話してみたかったんだよね!!ああー。可愛いっ!!目、大きい!!あとそれと双子の、なんって言ったっけ・・・」
多分、すぅちゃんのことだろう。ていうか橘さん・・・。
「双子じゃないよ~。橘、すみれ。」
すぅちゃんの名前は、流石にあのままじゃ駄目だったので、私が名前を考えたのだ。
すぅだから、すみれでいっか。みたいな乗りで。
でもすぅちゃんは、喜んでくれている。はず。多分。
「あれ?でも苗字一緒・・・」
「たまたまだよ!!!」