言えない愛と小さな世界。
「...はぁ」
広い運動場に動き回るちっちゃな人間。
ここからじゃ、最近遠視気味なあたしには彼かどうかもわからない。
それでも、一心に見続けた。
集団になって走る陸上部。
大声出してチームワークを見せる野球部。
ボールを必死に追いかけ回すサッカー部。
誰だっていい。
...問題はそんなんじゃない。
―――カタン
「...」
〝来た〟
小さな音。
だけど、それは確実に教室のドアの向こうの廊下から。
あたしはそれに笑いが込み上げ、いつものように泣きそうになった。