あの冬の恋は雪のように冷たかった
先生の話なんて
全く頭に入らなかった。
あっというまに
朝の会が終わり、休み時間。
親友の奈々が
私のところに駆け寄ってきた。
「ねぇ愛っ?!
さっきのなんだったの~?!」
私は奈々にさっきのことを話した。
「え…??じゃあ、付き合うことになったの?」
「や、違うだけど!!
むこうが勝手に言ってるだけ…。
でもちゃんと断ったし!!
だからもう大丈夫だと思う…」
――
キーンコーンカーンコーン
あっと言う間に
帰る時間――
この日の授業は
少しも頭に入らなかった気がする.
それも全部全部
伊藤和樹。
あいつのことだけ
考えてて………
あいつのせい。
あいつのせいで
あいつのせいでっ……
もう何がなんだか
トイレに行こうと思って
奈々と歩いていたときだった。
小声で聞こえた。
「あいつだよ、和樹のカノジョ。」
伊藤和樹は3年生。
それも学年一モテる…
そのおかげで2年にまで
伊藤和樹に関する情報は即広まる。
付き合ってる、っていう情報も
全部広まっていた。
もちろん、私とのことも
1日で広まった。
伊藤和樹の事が好きという
3年生の女子からはにらまれたりもした。
「なんだ、ブスじゃーん。
これから奪えるね」
「ブスがいきがんなバーカ!!」
そんな声が
聞こえた―――