「Love Step」ハロウィン編
* * * * * *




「はいっ」



杏梨の目の前にホットミルクティーが置かれた。



「ありがとう」



「で、話せる?」



「……うん……わたし、ハロウィンって苦手なの」



「へっ?なにそれ?」



香澄が思いがけない告白に唖然となる。



「苦手になったのは……あの事件が起こった年のこの時期で……」



あの事件とは杏梨がレイプ未遂の事件の被害者になった時のこと。



精神的な傷を負った杏梨は部屋にこもりっきりだった。



テレビはずっとつけっぱなしの生活を送っていた。



音がなくなると怖かったから。



放心状態からふとテレビを見ると洋画が始まっていた。



この時期にうってつけの「ハロウィン」、古い映画だったがぼんやりと見ていた。



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