「Love Step」ハロウィン編
スタッフから少し離れた場所に移動して出る。



「もしもし?」



『雪哉くん、わたしよ』



明るい声が聞こえてきた。



「ええ、元気そうですね」



『冬樹さんも元気よ~』



いったい何の用だろうかと思った。



「どうしたんですか?俺に電話なんて珍しいですね?」



『今日はハロウィンよね?』



確かめるように聞かれて「ハロウィン?」と首を傾げた。



「あぁ 10月31日ですね」



『……杏梨はどうしているかしら?』



「土曜日なので家にいると思いますが……」



『雪哉くんは仕事中よね?ごめんなさい』



「いいえ、どうかしたんですか?杏梨に何か用が?」



電話の向こうの貴美香は困惑しているような声だった。



「それが……」



貴美香が口ごもった。




電話をかけようにも、もしかしたらハロウィンの恐怖は薄れて思い出していないかもしれないし、電話をかけて思い出させてしまったりでもしたらと、杏梨に聞けないのだ。



「どうかしたんですか?」



『ハロウィンの事は何も聞いていない?』



「え、ええ どうかしたんですか?」



貴美香の説明を聞いているうちに雪哉は苦々しげな表情になっていった。





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