Memory
そして放課後。
俺の思っていた通り杏子はメールを見ていた。
そして皆が帰った後の静まり返った教室には俺と杏子2人だけ‥
「今日の昼休みはホントごめん」
「べ、別に気にしてないから‥」
目を逸らしながら杏子は首を横に振った。
気にしてない奴の態度じゃねーだろ。
こんな事はどーでもいいか‥
「そんでさ、菊池のこと諦める理由、杏子にも教えることにした‥」
「え、ホント?!」
俺はさっきと全く違う態度の杏子に呆れた表情を見せて呟いた。
「‥杏子のことが好きみたい」
「‥‥‥え?」
杏子は顔を真っ赤にして固まった。
「あぁぁあぁもーー‥そんな顔すんなよ。バカじゃねーの?」
杏子の目の前で
「一応俺も男だよ?」
ってからかってみた。
「そんなの分かってる!ただビックリしただけじゃんかー」
「杏子の反応面白すぎ」
そう笑顔で言いながら杏子の頭をクシャっと撫でた。
「‥じゃぁ、私も1つだけ言いたいことがある」
杏子は頬を膨らませながら呟いた。
「私も宏揆のこと‥‥」
できることなら聞きたくなかった‥
その後の言葉を聴いた瞬間に何も言えなくなった。
俺は戸惑いを隠すように杏子を力強く抱きしめた。
そして心から思ったことを杏子へ伝えた‥
「本当お前って馬鹿だよな‥。」
嘘までついて、杏子の気持ちを弄んでる俺を
信じてくれて‥
好きになってくれて‥
「ありがと‥」
その後は逃げるように教室を飛び出した。