Memory
「お前無理してんだろ」
「‥当たり前だろ」
「そっか‥」
やっぱりな。
そりゃそーだけど朝とか普通に元気に見えたから‥
もうここまで来ると
調子のいい日なんてのは
ねーのかもな‥。
一応医者からは
今日が最後かもって言われてるくらいだし‥
俺らは少しの間
人影が無い場所で潤の発作が落ち着くのを待った。
「もう大丈夫‥教室行こーぜ」
「潤がいいなら行くか」
教室までの道のりで
今日卒業するんだって実感した。
あんまり卒業式とか好きじゃなかった方だけど
今回は違う。
なんか寂しい感じ。
そんなことを思って歩いてると
教室には直ぐに着いた。
すでに杏子と菊池が居て
潤が来たことに驚いてる。
でも潤は直ぐに席に着いて
顔を伏せた。
「そっとしといてあげて」
何かを察したのか久しぶりの潤の姿に
喜ぶ周りの連中にそう言って
潤の机の前に座ったのは
菊池。
そして
「だるくない?」
ってみんなに聞こえないくらいの声で
潤に問いかけてた。
その風景を見て何だか自然と笑みが零れる。
学校であんな光景みるのが
久しぶりで‥少し嬉しかった。
それもこれも全部今日でなくなる。
そう思うと胸の奥が痛くなった。