クロネコ彼氏
「く、黒川くん」
「ん?」
名前を呼ぶと、帰ってくる優しい声と表情。
さっきとはまるで違う。
その声と表情に心臓が、トクン…と跳ねた。
「え、えと……ごめんなさい!」
優しい表情を見てしまったからか、落ち着かなくてなぜか謝ってしまったわたし。
当然、黒川くんからは「は?」と素っ頓狂な声が聞こえる。
「何謝ってるわけ?」
「は、話が最初から理解できなくて」
とりあえず、それを伝えると黒川くんは眉をしかめる。
「だから、なんで黒川くんが謝ったんだろ、みたいな」