クロネコ彼氏
「あっ!」
「ん?」
「古文の教科書忘れた。今日回ってくるのにー」
最悪だ…。と呟くわたしを見て和が笑う。
「どうしよう!?」
「しーらない」
ふふって笑って前の自分の席についた和。
うぅ…。
さっきまでの優しさはどこに行っちゃったんだろ。
「古文、古文~~っ!」
「…中川、古文忘れたのかよ?」
「え?」
思わず叫ぶと、隣の席の男の子……柳瀬くんが話しかけてくる。
うわ、恥ずかしい…。
「うん、忘れたみたい」
「バカだな!」
「っ、なっ!」
確かに、バカだけど。
そんなはっきり言うことないのに。
そう思って、キッと柳瀬くんを見る。