クロネコ彼氏
源氏がふらふらしてるから、最後は後味が悪いんじゃないか
…みたいな。
それを和に話したら、
「そんな簡単じゃないんだよ、きっと」
なんて言われたけど。
…よく、分からない。
それはわたしが“恋”を経験してないから、なのかもしれない。
「はい、じゃあ飛んで45頁……中川。
現代文でな」
「あ、はいっ」
柳瀬くんに「借りるね」と言って教科書を目の前にもってくる。
文字の羅列を見てみる。
…うん。
大丈夫そう。
「十時…過ぎに少し寝入った源氏は……枕の所に美しい女がすわっているのを見た。
“私が……どんなにあなたを愛しているか、しれないのに、私を愛さないで、こんな平凡な人をつれていらして愛撫なさるのはあまりにひどい。
恨、めしい方”
と、言って横にいる女に手をかけて起こそうとする夢を見た」
「はい、次」
席について、ふぅとため息をつく。
…どっと疲れた。