クロネコ彼氏
「……う、うそ」
わたし、中川 伊織。
勉強はいつも平均で、
運動は走るのが苦手。
可愛いとも不細工とも言えない微妙な外見。
……そんな私に、黒川くんが告白?
「な、なんで」
「ん?」
「なんで私に?黒川くんが……」
はわわわ、とパニックになったわたしは思ったことを口にしてしまって。
だけどその言葉に、黒川くんはサラリと答える。
「好きだから?」
「――っ」
な、なんか、直球で言われるとかなり照れる!
多分耳まで真っ赤なわたし。
けど黒川くんは、表情一つ変えてない。
な、何で私が参ってるんだろう…。
「わわ、わたし、黒川くんのこと知らないし!その!」
今まで告白された事なんかないわたし。
しどろもどろになりながら、ありきたりな台詞を言うと。
「大丈夫」
「え?」
「絶対俺のこと好きにさせる。だから――」
付き合って。
黒川くんはそう囁いた。