クロネコ彼氏



――だけど。


それはわたしの皮膚が傷ついた音じゃない。



だってわたし、どこも痛くない。





「…っあ……」


「……何、してんの」



冷たい、声だった。


その声に少しずつ顔を上げると、

黒川くんが立っていた。




どうして、黒川くんが?



ここに居る人、全員がそう思ったっぽいけど、

黒川くんはそんなのお構いなしみたい。





「あ、の…っ、これは……!」


「アンタ、昼の時の奴だろ?」


「……っ」



黒川くんが冷徹な声で聞くと、女の人はそうやって言葉をつまらせてしまう。



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