クロネコ彼氏
わたしからは黒川くんが背を向けてるから、表情が見えない。
だけど、女の人の顔が恐怖で歪んでいるのは見えた。
「何したか分かってる?」
「…っ、…だけど…!
黒川くんがそんな平凡な女と居るなんて許せなくて!」
「……っ」
ズキン。
胸が、痛む。
……分かってる。
黒川くんと、わたし。
不釣り合いなのは、分かってる。
「だから、そんな可愛くない子…っ」
もう、聞きたくない。
そう思って耳を塞ぐ直前、低い声が聞こえた。
「少なくとも。
アンタよりは、何倍も可愛く見えるけど?」
その、黒川くんの言葉に皆が目を見開いた。