クロネコ彼氏
「……やっぱり、一つだけ言わせてもらうね」
黒川くんの顔を、クイッと上げる。
「…伊織?」って黒川くんが不思議そうな顔をしている。
そんな黒川くんの顔に、かばんの中に入っていた消毒液をかけた。
「は……いって
消毒液いきなりとかどんだけ…」
「だって!裾で拭っただけなんてばい菌入っちゃうよ!」
「でも言うだろ、普通」
黒川くんの正論に、何も言えなくなったわたし。
だから、手に持っていた絆創膏を、黒川くんの綺麗な顔に張り付けた。
……だけど、ちょっと、勢いよく張っちゃったみたいだ。
「……怪我人っていたわるんじゃ…」
「くく、黒川くん!
あの、た、助けてくれて……ありがと、ね」
黒川くんの言葉を遮ってお礼を言う。
……けど、噛みすぎだ。
だから、恥ずかしくなってきてしまって、俯いた。