クロネコ彼氏


 *



「ノロケとか聞くとぶっ飛ばしたくなるー」


「ノロケとかじゃなくて……」



結局、あれからデートの行き先は決まらなくて。

だったら、そういうコトに慣れてる人に聞こう!と思って和に聞いてみたのに。


今のこの状況……。



「はあ?

『俺も伊織と一緒ならいいや』とか言われてノロケじゃないんだ!?」


「ああもう! そんな言うならノロケでいいよっ」


「うわぁ! ノロケとかムカつくーっ!!」



……もう、どうすればいいのか分からない。


もしかして聞かない方が良かったかな?


うーん。

彼氏もいるし最適だと思ったんだけど……。




「……や、やっぱりいいや」



ごめんね? って言って席を立とうとすると、腕をガシィッ!と掴まれる。


……あれ?




「いやいや!何で帰ろうとするの!?」



後ろから聞こえた和の声。


その声にわたしは、

ええぇー―! と、心中で叫ぶしかなかった。



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