クロネコ彼氏
「伊織はキスしたいとか思わないの?」
黒川くんと、って耳元で言われて、わたしの顔は更に真っ赤。
どんどん熱が篭ってくのが分かる。
キス?
黒川くんと?
そんなこと――
「まだ、ムリですっ」
出来るわけない。
あの整った顔が近付くだけで心臓が凄い音をたててるのに、キスなんて。
心臓が破裂しちゃうんじゃないかな……。
「純情ねぇ、ホント」
「和には分かんないよ」
こう見えて和はモテる。
綺麗な顔をしていて、スタイルも良いし、勉強は出来ないけどスポーツ万能。
そして、この話しやすい雰囲気のお陰でモテモテの和。
そんな和には、平凡なわたしのこの気持ちが分からないんだ……。