クロネコ彼氏



今わたしはクラスの前に居る。


一人教室のドアの前にいるわたしに、ちらちらと周りが見てくる。

のは、分かってるんだけど……。


わたしはドアから教室を覗いて、ため息をつく。




「黒川くんが居ない」



どこに行っちゃったんだろう。

正直、黒川くんの行動パターンはかなり気まぐれで、まったく目星がつかない。


それに、闇雲に探し回ってたら行き違いになるかもしれないし。


だから教室の前で待ってよう、そう思った時――。




「何やってんの?」



聞き慣れた声がした。


その声に「え?」と振り向くと、居たのは黒川くん。

クラスに戻ってきたみたい。



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