クロネコ彼氏
「用事」
「え?」
「用事って何?」
いつもより若干低い声で聞かれて、肩が震える。
さっきまでドキドキしてた心臓は、また違う意味でドキドキと音をたてた。
――黒川くん、何か怒ってる?
握られた腕が今になって痛く感じる。
声がいつもより少し怖いような。
それに気付くと同時にわたしの頭の中はパニックになる。
何か怒らせるようなことしたかな?
それか、教室に行ったのがダメだった?
つい黙って、そんなことを考えてる。
そしたら黒川くんの口から、ため息が聞こえて、また肩を震わせてしまう。
「あんまりクラスの前とかに居ないで」