クロネコ彼氏
「行ってきますっ!」
――ガチャリ、
と、玄関のドアを開いて走ろうとしたわたしの足は、目の前の光景に止まった。
え? なんで……?
「く、黒川くん!?」
「……おはよ」
そう欠伸をしながらわたしを見たのは、間違いなく、黒川くん。
いや、だけど、待ち合わせ場所ってここじゃないよね……?
「遅れるかも、って来たから迎えきた」
そんなわたしの悩みに気付いたのか、ケータイを指して一言。
多分、さっき送ったメールのことかな?
「……ごめんね」
――最悪だ。
黒川くんに迷惑かけた。
初デートなのに。