クロネコ彼氏
「これ、俺のっていう印だから」
最上級の笑顔でそんなこと言われたら、もちろん断るなんて出来ない。
それに、したくない。
――黒川くんの、印。
黒川くんの“彼女”だっていう、印。
「うん。外さない
ずっとずっと付けてるね」
そう言って黒川くんを見ると、黒川くんは優しく笑ってくれた。
だから今度はわたしから、ぎゅっと手を握ってみる。
そうしたら、一瞬黒川くんは目を見開いたけど握り返してくれて。
ドキン、と心臓が大きく高鳴った。
“恋人っぽいコト”
とか、色々と考えてたけど。
ゆっくりでもいいよね。
今はまだ、
――“黒川くんと一緒にいれる”
それだけでいいや。