逢えてよかった。
彼女はハンバーグを箸で一口サイズに切って口に運んだ。


「おいしい…」

その一言に母は笑顔になった。

「よかった、どんどん食べてね。」

「はい。」

彼女は本当に美味しそうにご飯を食べた。

「夕子さんは部活は何部なの?」

「吹奏楽部です。」

「そう、何の楽器?」

「フルートです。」

「あら~、難しいでしょ?大変ね。」

だんだん母はおばさん口調が強くなってきた。

「いえ、小さい頃からやっているので…」

初めて聞く話、私は

「そうなの?中学からじゃないんだ?」

「うん、6才の時からはじめたの。」

私は彼女のことをまだ何も知らないことに今さら気がついた。


夕飯が終わり、私と彼女は私の部屋に移動した。

「どうぞ、散らかってますけど…」

私はドアを開け彼女を部屋へ通した。

「へぇ~、山田さんの部屋ってぬいぐるみが多いんだね。」

彼女は棚に飾ってあるぬいぐるみを見ながら言った。

「あれ?絵本がある。山田さんって弟か妹いるの?」

「いないよ。それ、私のだから。」

私は絵本を手にとり

「私、絵本作家になるのが夢なの。この天野つばささんは私の憧れの人なの。」

こんな絵空事を言った私を彼女はどう思うだろう?

「絵本作家かぁ、すごいな。」
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