逢えてよかった。

｢ねぇ、高岡さんの夢って何？｣

この質問に彼女は腕を組み、

｢夢かぁ、今はまだないかな。｣

私の中の彼女の勝手なイメージはいつも前向きで明るい人、
だからいつも目標を持って生きてる

そんな風に勝手に色付けしてた。

｢そうなんだ、高岡さんフルートやってるから音楽の道に進むのかと思ってた。｣

｢あれはただの部活だし、将来どうこうなんて考えられないよ。｣

自分はどれだけ彼女のことを知っているのだろう？

私はもっと彼女のことを知りたくなった。

｢高岡さんの家族のこと聞いてもいい？｣

彼女は少し迷った表情をしたがすぐに

｢いいよ、何から話そうか？｣

｢じゃあ、まずは家族構成から。｣

｢父と兄、それからおじいちゃんに私の四人家族だよ。｣

｢お母さんは？｣

｢父と母は私がまだ小さいころに離婚してるの。その後母は病気で亡くなってる。｣

｢ごめん、変なこと聞いて…｣

｢平気、慣れてるし。
父の仕事の都合でこの町に引越して来たけど兄の通っている高校は地元じゃかなりの進学校で転校したくないって兄が言って、おじいちゃんもずっと今のままがいいって言って私と父の二人暮しってワケ。｣