ガラクタのセレナーデ
「真くんってさぁ、綺麗な顔してるよねぇ。
あれで普通の子だったらなぁ……」
昼食の時間、いろはの二年先輩である『黒川 瑞希(クロカワ ミズキ)』が、残念そうに呟いた。
30人も収容しない狭い食堂、だが、この小さな施設には充分であった。
若葉園の食堂では、入所者と職員がいつも一緒に昼食をとる。
職員が配膳を手伝ったりし、そして、入所者の食事の様子を見守るのだ。
要は、若葉園の職員にお昼休みなどないのである。
「黒川さん、そんな言い方やめてくださいよ」
瑞希の向かいの席に、重度の障害がある若い青年と隣合って腰掛け、食事介助をしているいろはが、腹立たしげに非難する。