彼の失敗は言えなかったこと

進む針
冷える部屋

ストーブからの
灯りも消え

頼りは
カーテン越しの月明かり


「ばか」

私はなんで、こんな奴に一度でも好意を抱いたのか、理解出来ない。


『あかり!』


自分の事すら気にかけず、助けてくれるから……、だったかな。

懐かしい。沈殿した水底の記憶。この恩だけは忘れない。ムカつく男だけど。


私が生きて居るのは、こいつのお陰。
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