小さな空と6つの罪【短篇】
大小、二つの門を合わせ持った入口を過ぎると、そこは『塀の中』

素っ裸にされて着替えた服は、受刑者のそれと変わらない

拘置所での初めての夜、空気のよどみが気になり、空けたままにしていた窓からは、大量の虫が部屋へ入り込み、眠る事が出来ないでいた

深夜に聞こえる、何処かの房からの叫び声
耐えかねる何かがあるのだろう見えない誰かは、何処かに連れて行かれる

こんな夜を過ごす事も罰なのだろうか…

留置場のトイレは大きな窓が付いていた
いつでもそこからは中も外も見える構造だ

拘置所のトイレは部屋にただ備え付けられているだけだ
壁の代わりに板が立てかけてあり、半身が隠されている

これも罰だ

煙草を吸えないのも罰

何の罰…?
五つも罪を犯したじゃないか


自分の甘さと、時間潰しに思考を費やし、裁判を終えた時には季節は夏に変わっていた

実刑扱い 執行猶予付き

俺の五つの罪が裁かれた


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