小さな空と6つの罪【短篇】
出会いというには悪戯が過ぎるし、もはや出会いではなくただ単に見かけたという方がいい
あの時に助けた女…
ふと声をかけようと前に出した足を、停めた
一瞬目があったがこちらには気付かない
(今更何を…)
犯した罪は裁かれた
求める物なんて何もないじゃないか…
そう思い歩みを進め、女の横を通り過ぎた
前方を見ている俺の耳に
―うざかったから彼氏にボコってもらったんだ
そんな言葉が聞こえたが、俺には関係ない日常の会話だ
そんな会話を気にするより、音沙汰もなく待たせている彼女に会いたい