小さな空と6つの罪【短篇】
薄着で出掛けた任意同行のまま入れられた留置場は寒く、汚い毛布にくるまりながら、五つの罪を考える
―何故今此処に居るのだろうか…
取り調べで刑事に言われたのは、
―今年の桜は見逃したな
証拠という物は、隠せば発見されるが、事実を立証するのは難しい
取り調べ中は辛うじて認められる『人権』のお陰で、取り調べ中と、1日に2度煙草を4本吸える
四方を壁で囲まれた三畳程のコンクリートの運動場
見上げた空は、コンクリートが高くそびえ、穴から見上げる小さな四角形
手の平を掲げるとすっぽりと隠れる青い空はやけに小さく、煙突の中にでも居るようだ
ここから逃れる可能性…
その出口の小ささを感じさせる小さな空は、自分の小ささをも実感させる
―届くのだろうか?あの小さな空に…
空の小ささを実感させたのは、意外にも弁護士の言葉だった