ありがちな青春物語
「良い感じに写ってるっ」
「聡美、この顔はいくらなんでもマズいでしょ。」
「そこはスルーでいこう。」
「こっちは2人ともめっちゃ詐欺ってるねー。」
2人で笑いながらゲーセンを出ようとした。
「ちくしょー。また取れねー。
あとちょっとだったのにー…。」
「もう行こうぜ。何回やってもダメだろ。」
「やだっ!ぜってー取るっ」
学ランを着た男子が2人、ぬいぐるみのユーフォーキャッチャーの前に立っていた。
いや、正しくは、
1人がユーフォーキャッチャーの前で奮闘していて、1人はあきれ果てているところだ。
「なに、あれ?
かっこわるー…。」
聡美がつぶやいた。
確かに。
あんな大声で言うなんて。
しかもたかがぬいぐるみじゃない。
はやくゲーセンから出よ。
出口の自動ドアが開いた。
「あれっ、由美香ちゃん!?」