KANKERI
「ユカ!」
 アヤカ虐めの主犯にいたクラスの生徒達が、ユカを呼んだ。
「おぉ、おはよう!」
「ねぇ、ユカ?」
「なに?」
「アヤカの事なんだけど…」
「あぁ、そうだ!みんなに聞こうと思ってたの。なんで、戸田さんと誰も話したりしないの?なんか可哀想だなぁと思って話しかけてるんだけど、全然心ひらいてくれないの。ユカ超ショックだった。」
 ユカの早口な口調での話が終わり、また話は戻る。
「ユカ。私達、アヤカのこと、無視しようって同盟くんだの。」
 それを聞いたユカの表情が少し変わった。
「ん〜それどうだろう。なんか、ヤな感じ。」
 ユカからそういう返事が返ってくるとは、クラスのみんなも思わなかった。わかった。という人が絶対だったから。
「それ、イジメでしょ?めんどくない?」
 あまりにもあっさりで、今まで何故、アヤカを無視していたのか、アヤカの行動にいちいち腹をたてていた自分がみんなバカバカしく見えてきた。
「じゃ、今日彼氏とデートだから!また明日ねぇ、バイバイ!」
 ユカは、明るくスキップをしながら帰って行った。
 それからクラスが変わり始めた。
 アヤカが教室に入ると、いつもは一瞬静まるのが、今日はみんな私を確認しても話をとめるものいなかった。
 アヤカが席に座っても、自分の席を離れるものはいないし、おはようと挨拶をする者までも現れた。
 アヤカは、みんなの変わりように戸惑っていたが、原因はすぐにわかった。
 ユカの一言で、私は救われたと。

 それからアヤカとユカの友情は親友と呼べるまでに成長した。
 アヤカをいじめていたクラスの人達も、もうアヤカを無視する者はいなくなった。
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