KANKERI
「これ…」
 荒井は、画像をみて驚きの表情を浮かべた。
「見覚え…あるの?」
「この缶、俺がさっき蹴った缶だ…」
 荒井は、あたりを見回し、言った。
「あった…これだ。」
 荒井は、拾い上げた缶と携帯の画像を見比べた。
 アヤカの携帯からまた声がした。
『イイカ。ソノ缶ヲ使ッテ、コレカラオ前達ニハ、缶ケリヲシテモラウ。』
「缶蹴りって、あの缶蹴りか?」
 小学生の頃、公園でよく遊んだあの缶蹴り?清水は聞き直した。
『ソウダ。ヤッタコトハアルダロウ。』
 全員が顔を見合わせる。
 誰でもルールくらいは知っている遊びだ。
『鬼ハオ前達ノ中カラ交代制デ決メル。高木ミナ、聞コエルカ?』
 ミナの表情がこわばる。
「なに?」
『一回戦。最初ノ鬼ハ、オ前ニ決定シタ。』
 ミナは、自分の携帯に届いたメールを再度、確認した。
『連絡ハ、スベテメールニテ行ウ。従エナイ者ハ、今スグ携帯ノ電源ヲ切レ。』
「切ったらどうなる?!それに…」
 荒井は携帯を取り出し、差し出した。
「俺のメール、読めないんだ!」
『今ノオ前ニハ、読メナイ。ソレダケダ。』
「どういう意味だ!」
『ソレカラ、携帯ノ電源ヲ切ッタ者ハ、ソノ時点デ消エテモラウ。』
「消える?どういうことだ!」
 清水が返す。
 シホが一言言った。
「…死ぬってことですか?」
『アハハハハ!』
 また、笑い声が響いた。
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