KANKERI
『ルールヲ説明スル。鬼デナイ誰カガ缶ヲ蹴レバ勝チ。鬼ハ隠レタ者ヲ探シ、見ツケタ場合ソノ者ノ名ヲ大キナ声デ呼ビ、缶ヲ踏ミツケレバ勝チ。ソレダケダ。』
 淡々とルール説明をした男に、アヤカは言った。
「なんのために…」
 沈黙が続いた。
 返答のない男に、荒井が知りたくもないような事を聞いた。
「負けたらどうなる?」
 らしくないあまりの静かな声での質問に、なぜか緊張がはしる。
『…消エル。』
「…勝ったら?」
 さらに、聞き返す。
 みんなは、息を飲んだ。
『命ヲ…返シテヤル。』
 沈黙が続く。
 突然のことで、上手く理解が出来なかった。
『オ前達ニタダ遊ンデモラオウトハ思ッテイナイ。私達ハ、何処ニデモアルツマラナイ生キ残リゲームナンテヤラナイノダヨ。コレハ、生キ返リヲ賭ケタゲームダ。』
「生き返る?」
 ミナが突然、話し出した。
「みんな、信じてんの?こんなのどうせ誰かの嫌がらせに決まってるでしょ。 
なにが、生き返るよ。生きてるっつーの!」
「でも…」
 シホは、疑ってはいたものの、本当なのかも知れないと思っていた。
「解った。じゃあ、あたしが証明してあげる。」
 ミナは、携帯を取り出した。
「従わない者は、電源を切ればいいんでしょ?」
「でも、電源を切ったら…」
「消える?そんなのありえないでしょ? …バカじゃないの。」
 話を吐き捨てた後、ミナは、ボタンを強く押した。携帯の画面が消えた。
「ほら、何も起こらないじゃない。」
 本当に何も起こらない。
 やっぱり誰かのいたずらなのか、ミナの言葉を信じ始めたそのときだった。
 また、全員の携帯の着信音が響いた。
「メール…」
 清水がメールを開いた。
「読める。さっきのは、文字化けしてたのに…」
 文には、こう書いてあった。
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