忘れないで。
始まり
『私…和斗と別れたい』
いつだかそんな事を口に出した。
直接言えない私は
電話で伝えた卑怯な女。
いつだって和斗を見ていた
さよならだって考えてなかった。
でもね、私もう嫌なんだ。
この10ヶ月の間和斗は変わったの。
「俺…何かした?」
ゆっくりと口を開いたその口から
即“分かった”って聞くと思ってた。
理由を求めた和斗に
唇を噛み締めた。
私の口から言わせる気?
今が惨めなのにもっと惨めにするんだ。
本当に分かんないの?
なんで分からないの?
私はいつだって和斗だけだったのに
和斗が裏切ったんだよ。