忘れないで。
文化祭の準備は遅くまで続いた。
気付けば空は暗くなっていた。
風は生暖かくいい感じだった――
「早坂。」
風を感じていると
滝本の声に気付いた。
『あ…お疲れ様~』
サボってた癖に結局ちゃんと最後まで仕事をしてくれたね。
そんな気持ちで言葉にした。
「ちょっと来て?」
『え?』
私は滝本の後に続いた。
『何処行くの?』
私は階段を登りながら
滝本の背中に問いかける。
「い~から」
それ以上何も言わない滝本は
ひたすら階段を登った。