忘れないで。
やっと滝本の足が止まったのを確認して
私も止まった。
「早坂…見て。」
少し声のトーンが上がったのが分かった。
『……わぁぁ……』
ここまで来るのに登った階段のせいで既に体力の限界を感じていたのに…
滝本が見せたかったこの場所を見たら
そんなものはぶっ飛んだ。
目の前には当たり一面が住宅街の灯りでキラキラしていた。
『……綺麗』
本当に綺麗だった。
「本当は屋上まで行きたかったんだけど…さすがにもう閉門だしね。」
そう言って笑った滝本の顔も
夜景に照らされてとても綺麗だった。
―――あそこは
私達の想い出の場所だよね。
昔も今も…。
あそこに居ると
永遠を感じていられたんだよ。