忘れないで。


私と滝本の関係は
今までと特に変わりはなかった。


ただ1つ変わったとすれば
電話をするようになった事。

内容だって本当にくだらない。
照れ屋な滝本は親にバレないように
買い物してくるふりをして外から電話をかけてきた。


凄く楽しくて
時間が過ぎるのは早かった。




「つーかもうこんな時間じゃん!」


電話の向こうで滝本が慌てた。


電話をしてから1時間半……
さすがに滝本の親も変に思うだろうな…



『滝本の買い物はいつも長いもんね。』

可笑しくて笑ってしまった。


「……誰のためだと思ってんのさ」


滝本の声音が低くなったのに気付いた。


あ…不機嫌になった?




“誰のため”

そんなの分かってるよ。
外はもう寒さを増してるのに
滝本はいつも電話くれるじゃない。


だから私確実に滝本に惹かれてってるって思ってたんだよ?




でも貴方は不安だったんだね……

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