忘れないで。


『……っはは』


私は自分の顔を両手で覆い
崩れるように机に伏せた。


「……ちょっ美鈴!?どしたの!?」



その姿をみて芽以が慌てたけど
私にはまるで音をなくしたように
何も聞こえなかった。



今日の空……
私の心境とは正反対。


私がこんなに苦しくても
時は流れ、周りは笑ってる。



こんなに虚しい事はない。


ああ……私重傷だ。



誰か救世主になって
助けてくれないものかな……



なんて考えてる時に
ポンって頭に何か当たった。


それを確かめるために顔を上げた。



「泣くなよ」


頭上から降ってきた声が
私の心に響く。



――救世主……

ふと思ってしまった。

< 8 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop