忘れないで。
「滝本……」
芽以は目を丸くして
私の机の前に立っている
[滝本 晃]を見た。
『……泣いてない』
滝本を見てすっかり涙がひっこんだ。
何でそこに居るの。
どうして泣いてると思ったの。
聞きたい事はあったのに
滝本は「そっか」って行ってしまった。
私の頭に何かが当たったもの
それは確かに滝本の手だった。
まだ成長しきってない身長と
幼い雰囲気を誰よりも持ち
いつも子供だなぁって思ってた。
「ねっ!びっくりしたね。いきなり滝本がこっち向かって来て、美鈴の頭に手乗っけたの~!!!」
さっきあった一部始終を
興奮しながら1から説明する芽以。
『……分かってるから…』
私は覚めた口調で芽以に答えると
また顔を伏せた。