僕等の軌跡
「…。」
壁によりかかってうずくまり、京香は泣き出した。
「京香どうして泣いてるの?大丈夫?」
「もう嫌だよ…。辛いよっ。」
わぁっと京香は泣き出した。
西野唯織(にしのいおり)。
私の事…好きなんだって。
西野はずっとその事京香に相談してて、でも京香は私が中川先生の事好きなの知っているから、2人の気持ち考えなきゃいけなくて…ずっと辛かったんだって話してくれた。
西野が一生懸命なのを見て、手伝ってあげたいと思った。
だけど私が中川先生といる時、すごく幸せそうなのを見てて…2つの恋を同じに1つに叶える事はできない。
私と西野は京香1人に2人分の負担をかけていた。
「ごめんね京香…辛かったよね。重かったよね。」
ギュッと京香を抱きしめた。
京香もギュッと抱きしめ返してくれた。
「ううん、あたしも美佳は絢哉が好きだって知ってるのに…ごめん。」
「ばかっ…そんなのいいんだよ。」
気づいてあげられなかった。
京香の思いに…。
私は自分ばかりで。
そんな自分に嫌気がさした。
2人で子供みたいに泣いた。
泣く事しかできずにいた私を、京香は優しく抱きしめてくれた。
なんだかすごく安心したんだ。
人に抱きしめてもらうのって、こんなに心地良かったっけ…?
「京香…ありがとう。」
「ううん…美佳、もう大丈夫?」
「うん。」
すると階段をのぼってくる誰かの足音がした。
「…。もう時間も遅いし、出来るだけ早くおりておいで。」
中川先生だった。
中川先生はそう言い残して、去っていった。
私と京香も帰ろうとした時だった。
玄関近くに西野がいた。
また京香が泣き出した。
「確か西野…美佳に手紙とかお守り…渡すって…。」
「ごめんね。京香…ごめんねっ。」
ただただ謝り続けた。
そして泣いた。
西野が嫌だったからじゃない。
京香が泣いてるのが辛くて悲しくて…それが私のせいでもあって…申し訳なくて涙が止まらなかった。