僕等の軌跡

「さっ、そろそろ行こっと。」

先生が立ち上がった。

「あっ、待って先生…。せっ…先生ですから…。」

私から中川先生へ…。
言葉のプレゼントのお返し。

「私が好きなのは沢山先生じゃなくて…。中川先生ですから!!」

今は…本当の意味はまだ内緒。
まだそこまでは伝えないの。

「僕、沢山先生よりうえなんですか?笑」
「はい…。」

中川先生の顔は…恥ずかしくて見れない。

「じゃっ教室戻るな!相原さんもちゃんとおいでよ?」

そういって教室に帰っていった先生…。

少しして教室に戻って、また2人隅の方で他愛ない話いっぱいしたよね。
お腹痛くなっちゃうくらい笑ったよね。
このまま時が止まってしまえばいいのにって思った。
ずっとずっと"今"が続けばって。
でもどんなに願ったって時は進む。


「はい!皆さん静かに。そろそろおひらきの時間です。今日は楽しかったですか?」

校長先生の声が教室に響く。

「ー…よしっ!解散。」

皆ぞろぞろと帰って行く。
一生懸命に先生の姿を探した。
色んな先生が声をかけてくれる。
でも…。

「中川先生!」

今日が先生の本当の生徒としては最後なんだ。
最後に心からのお礼を先生に言いたい。

「今日までありがとうございました。」
「…。いいえ、よく頑張りましたね。」

ねぇ先生…。
私、最高の生徒でしたか?
今までで1番の生徒になれましたか?
少しでも…先生の記憶に残る事はできましたか?
私にとって先生はきっと、今までもこれからも…最高で1番の先生です。

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