僕等の軌跡
「でも野村先生は…。1度もった生徒はずっと生徒でしかないんだってさ。」
どこか寂しそうに笑った陽菜。
そうなのかな…。
決めつけられちゃうものなのかな。
生徒だからって??
女の子なんだよ?
「私は…言い切れないと思うよ。好きになんないって。」
「え…。」
「私、いつか先生に伝えるつもりだよ…この気持ち。規則とかあるし…。それ以前に先生にとって私は論外かもしれない。でも、付き合うだけが全てじゃないでしょ?…諦めるの?」
少し考えこんだ後、陽菜は首を横にふった。
「一緒に頑張ろ?もしかしたらって可能性にもかけて。」
2人照れ笑い、心に決めた。
いつか伝えようと…
それまで好きでいようと。
<~♪~♪>
「美佳ちゃん、携帯じゃない??」
「「も…もしもし相原です。」」
「「あ、こんばんは。中川です。塾の…。」」
「「えっ、先生。もしかして留守電…。」」
「「かけるかどうか迷った。けど…。僕は今日個人として、相原さんにかけました。だから2人だけの秘密です。いいですね?」」
思わず涙がでた。
もしばれたら…。
そう思うと少し怖かったけど。
まず昨日の事を謝って、お母さんが信じてくれなかった話をした。
仕方のない話かもしれない。
でも…。
「「…。でも…僕は相原さんの事信じてますよ。」」
このたった1つの言葉が、どれほど私の心の支えになったか。
「「あ、僕は全然大丈夫でしたからね。全然相原さんが負い目感じる必要ないです。こんな経験したの初めてだし…いや、悪い意味じゃなくてね?ありがとう。今まで講師してきて、こんなに信頼して、したって、手紙とかもらったのは本当相原さんが初めてだし。すごい嬉しいです。相原さんと出会えて本当に良かったって思います。」」
この人はなんてまっすぐで、優しい人なんだろう…そう思った。