僕等の軌跡
Confession
「ね、美佳って呼んでいい!?」
「え…?あ、うん。全然。」
陽菜のびっくりするくらいの勢いで、少し距離の縮まった2人。
「じゃ、私からも提案!先生にクッキー作って渡さない?」
次は私の提案で、クッキーを作る事に…。
それまで話の絶えなかった私達が、とても静かになり、一生懸命作った。
見た目や味は、これといって特別凄いわけじゃない。
でも…気持ちはいっぱい詰まったクッキー。
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塾に行くと野村先生が丁度、授業を終えてきたところで…。
「あ、先生!!」
陽菜はすぐさま渡しに行った。
「え、まじいいの?ありがとう!」
野村先生とても嬉しそう。
陽菜もとても嬉しいそう。
一方私はー…。
「あの…っ。」
「ごめん!また後で。」
「先生…。」
「ちょっと待ってて。」
…。
先生はなんだか忙しそうで、なかなか渡せなくて。
よし最後渡すんだって思った時だった。
「あーっ、たらこ食べてーっ!!」
先生の声が聞こえた。
「わははっ。」
事務所からの会話。
あ…先生これ完璧忘れてるよ。
忙しいのは分かるよ。
でも…でもね。
こんなちょっとした事だし、仕方のない事かもしれないけど…なんだか悲しいよ。
「…。」
自然と涙がでてきて、私は慌てて塾を飛び出した。