僕等の軌跡

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「あ、絢哉だっ!!」

声を張り上げる桃花。
視線の先には中川先生…。
待ち合わせに15分遅れたけど…でも来てくれた。

「え、絢哉って今日何時まで?」
「何言ってるんですか…僕もう成人してるんで。」

私と桃花の門限も考え、21時くらいまで…。
それから3人で予定を考え、桃花の提案でカラオケに行く事に。
初めはぎくしゃくしてたけど、だんだん盛り上がってって…。
先生は私と桃花が歌ってるのを聞いて、"なるほどね~"なんて言ったり。
桃花はわざと抜け出して、私と先生を2人きりにしたり。
おまけに中川先生…。
私の誕生日だからって、カラオケ代おごってくれた。


「ね、先生、桃花。プリクラ撮りたい!!」
「お、いいねぇ…。」

なんてノリで撮りに行ったプリクラ。
"すごーい!!""楽しい!"って、無邪気な子供みたいにはしゃぐ先生。
切り分けたプリクラを、大切そうに手帳に挟んでくれた。

「皆に見せびらかしたいけど…この事ばれちゃうしなぁ。」

隠れて…来てくれてるんだよね。
こんなの本当は駄目な事なんだよね。

「カフェ行こうぜ。カフェ!!」

偶然皆同じミルクティーのホットを飲んで、楽しかったねーとか、あんな事あったねーとか、他愛ない話沢山してた。

「ねぇ絢哉、メアド教えてよ!!」

携帯を取り出す桃花。

「いやいや、僕はいいけど…塾の規則がね。」

そう、先生達は皆契約させられちゃってるんだ。

例え卒業しても、生徒とは連絡先を交換したりして、個人的な関係もっちゃいけないって。
分かってる。
ううん…そんなのずっと知ってた。
だけど改めて聞くと、泣きそうになった。
やっぱり駄目なんだって。


「あ…そろそろ門限。」

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