僕等の軌跡
「少し、はやく着いちゃったかな…。」
辺りを見渡した。
すると…
「あ、相原さん~。」
「先…あ、こんにちは。」
「前のカフェ行こっか?」
なんだか嬉しすぎて、声もでないまま私は"コクン"と頷いた。
「いらっしゃいませ。何になさいますか?」
「「アイスレモンティーで。」」
「先生、ホットじゃないんですか?」
「今日はアイスの気分。」
同じお店で、同じ飲み物飲んで、同じ時を過ごす。
ただそれだけの事が、こんなにも嬉しい。
あ、そうだ。
先生に話さなくちゃいけない事があったんだ。
「あの…。」「あのさ。」
「「え、あ、先に…。」」
何やってんの私ー…。
「あの、ごめんなさい。実はこの事、親にばれてるっていうかなんていうか…。」
「え…!?えぇ!!?んで、何て!?」
ストローをいじってた手が止まり、少し大声になった先生。
「別に反対はしないって、でも正式に付き合うなら挨拶はって。」
「僕の決心を見るって事ですか?」
実はまぁ色々とあって…。
また先生を困らしちゃったよね。
ごめんなさい。
「多分。後、好きかどうかとか…この先深く考えずに、今を考えてお互い後悔のないようにって。」
ふっと先生が笑いだした。
「でもさ、賛成(?)ならこの方が良くない?隠れて会ったりしないですむし!前も言ったけど、相原さんは俺の理想なの。だから満更でもないんだよな。」
先生何言ってるの?
満更でもないけど、今は考えてるんだよね?
「俺、このままだと多分"いいよ"って言うと思う。」
"だけど6月の適性試験後ね"とつけたした中川先生。
泣きたいくらい嬉しかった。
ついこないだの自分の入試結果よりうんと。
私は表情を隠すのに、せっせとレモンティーを飲んだ。
「挨拶して認めてもらえるなら、認めてもらえるまで頑張ればいい。試験だって絶対受かる。相原さんの為にも頑張るから。」