純愛を愛する彼女を持つなら
「さむい」
それは俺のギャグの感想だろうか、それとも自転車で風を切るせいか。
どちらにせよ彼女は後ろから俺に密着する。
美咲がいるから今、この世界が色づいて見える。
この放課後の帰り道が億劫に感じない。
俺は駐輪場で自転車を盗んで、後ろに美咲を乗せて、下校している。
ほんの1か月前までは自転車通学だったが漕ぐのが面倒になったので、電車通学に変えた。
そのとたん、美咲さんと付き合うようになって『家まで送ってけ』だよ。
どんだけ自転車の盗難が多発していると思ってんだよ。
ちゃんと元にあったところに返すけどさ。