純愛を愛する彼女を持つなら



「さむい」

それは俺のギャグの感想だろうか、それとも自転車で風を切るせいか。

どちらにせよ彼女は後ろから俺に密着する。

美咲がいるから今、この世界が色づいて見える。

この放課後の帰り道が億劫に感じない。

俺は駐輪場で自転車を盗んで、後ろに美咲を乗せて、下校している。

ほんの1か月前までは自転車通学だったが漕ぐのが面倒になったので、電車通学に変えた。

そのとたん、美咲さんと付き合うようになって『家まで送ってけ』だよ。

どんだけ自転車の盗難が多発していると思ってんだよ。

ちゃんと元にあったところに返すけどさ。

< 33 / 62 >

この作品をシェア

pagetop