EGOISTE

嫌な予感がしたんだ。


いつから?


もしかして、最初からだったかもしれない。


鬼頭が味噌汁の匂いで、トイレに駆け込んだそのときから。




ギシ…


俺はベッドの端に腰掛けると、まだ窓の外の猫を目で追っている鬼頭の背中に問いかけた。





「なぁお前、最後の生理はいつだった?」







「―――は?」




たっぷり間があって、鬼頭は振り返った。


「何言い出すかと思ったら…」


相変わらず顔に表情がない。だけど、うっすらと青ざめているのはただ単に体調が悪いだけではなさそうだった。


「考えろよ」


俺の言葉に鬼頭は素直に手のひらを広げる。


1、2本……と指折り数えてる。3本目を折る頃に鬼頭はゆっくりと……本当にゆっくりと顔をあげた。


「は……?」鬼頭がもう一度俺を見る。


「……っは」



俺の答えはため息とともに吐き出された。





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