EGOISTE

「とりあえず…ここでうだうだ言ってても仕方ねぇ。確かめるべきだ」


「確かめる…?」


鬼頭が不安そうに顔をあげた。


「俺の知り合いに産婦人科をやってる奴がいる。そいつに連絡しておくから、そこへ行けよ。ここからはちょっと遠いが信頼できる女医だ」


俺は白衣のポケットからケータイを取り出した。


あいつの番号……消してなかったよなぁ


なんて思いながらメモリの欄を検索してると、鬼頭の手がまたも俺の腕を握った。




「一人じゃ……怖い…。付いて来て」




はぁ?一人で行けよ。って言いたかったけど、言葉は出てこなかった。


こんな風に不安そうにしてる鬼頭を一人、ほったらかしにはできなかった。


関わってしまった以上にはそれを見届ける義務がある。



なんて理由づけるけど……



本当は鬼頭を一人にできなかった。


理由は至極単純だ。










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