EGOISTE
鬼頭を乗せ、俺のマンションに移動する最中、鬼頭のケータイが鳴った。
「あ、乃亜だ。ごめん。出ていい?」
「何で断り入れるんだよ?俺はお前の彼氏じゃねんだぞ。まぁ、彼女に対しても出るなとは言わんが……」
「もしもし?」
俺の言葉を最後まで聞かずに鬼頭はケータイを耳に当ててる。
俺の話を最後まで聞こうよ。どこまでマイペースなの!
「―――うん、大丈夫だよ。―――え?今保健医と一緒―――」
俺の方をちらりと見る鬼頭。
ってか、保健医って言うなよ。
「え?今から?」
鬼頭はちょっと困惑した表情で俺を見た。
送話口を手で押さえてる。
「乃亜が今から会えないかって。話があるみたい」
「あ~じゃぁ適当なところでお前降ろすわ。どこ?」
「それが…先生も一緒にって―――」
は?
何で俺も?楠と話すことなんて何もないぞ……
「たぶん明良兄のことだと思う……」
鬼頭は言いにくそうに表情をちょっと歪めた。