EGOISTE
家に帰る道でも、家にたどり着いてからも、俺は鬼頭のケータイに何度も電話を鳴らした。
夜遅い時間ということもあったし、何だかいつもと様子が違ったのであいつが今どこにいるか心配だった。
TRRRR……
7回目の電話でも、虚しくコールが鳴るだけ。
「…おい!出ろよ!!」
苛々しているのが半分、残り4分の一は心配、残りの4分の一からは後悔から、俺はケータイを握りしめた。
恋愛なんて様々だろ。お前がそう思ってもあの二人には違う。
お前基準で考えるなよ。
何であんなこと言ったんだろう。
何でもっとあいつのことに賛同してやらなかったのだろう。
何で……
俺はこんなに必死で、何で後悔なんてしてるのか―――
10回目も空振りに終わって、俺はとうとう鬼頭に電話を掛けることを諦めた。
変わりに水月に電話をし、少しだけ事情を話しそっちから連絡を取ってもらうことに決めた。
それから15分程して水月から折り返しの電話がかかってきた。鬼頭は自分の家に帰ってると聞かされたとき…
俺は今までにない安堵を覚えた。
それと同時に忘れかけていた胃の痛みが再来した。
ギリギリ…と締め付けるような痛みに顔を歪ませながら……
理解することが大人だったら、あたしは大人になんかなりたくない
鬼頭の言葉が、まるで壊れたラジカセのように何度も何度もリピートしている。
それを聞きながら、俺はソファに体を沈めた。