EGOISTE
サー…―――
何の音かって?
俺の血の気が引く音だ。
そう言えばあいつああ見えて空手の有段者だっけ。
この歳でまだ死にたくない。
俺はため息を吐くと、ごろりと隣に移動した。
「ったく、どいつもこいつも…」
何に対して?誰に対してか分からなかったけど、口に出た。
言って現状がどうにかなるわけでもないのに。
「先生……」
鬼頭が俺の隣でぽつりと呟いた。
その問いかけはしんと静まり返った音の無い部屋で、妙にはっきりと聞こえた。
「何だよ?」
ちょっと面倒くさそうに答える。
「水月のお姉さんと、どうして別れちゃったの?」